愛用の時計を持っている方の多くが、「時計をできるだけ長く使い続けたい」と思っているでしょう。
腕時計は肌に直接触れるものであり、内部は精密な機械のため、長く使い続けるためには、日頃の手入れが重要です。
しかし誤った手入れの方法をしてしまうと、大切な時計を傷つける事態にもなりかねません。
腕時計の日頃の手入れの重要性
腕時計は、内部にムーブメントと呼ばれる機械があります。
腕時計を持っている方の中には、「機械は自分でメンテンスはできない」と思い、特に手入れをしていないという方もいるのではないでしょうか。
ムーブメントとは?
ムーブメントとは時計内部にある動力機構のことです。 続きを見る
このムーブメントには、ゼンマイの力を利用して駆動する「機械式時計」と電池を動力として駆動する「クォーツ式時計」の2種類あります。 【時計初心者向け】機械式とクォーツ式の時計どちらが良い?
しかしだからといって、腕時計の日頃のメンテンスを怠るのは大きな間違いです。
時計は肌に直接身につくものであり、サビや汗に強い素材を使っていても、使用していれば汚れが生じます。
特に裏ブタや金属ベルトの隙間には、細かい汚れが溜まりやすいです。
ココに注意
そのまま放置していると時計内部に入り込み、時計の心臓部であるムーブメントに悪影響を与える危険性もあります。
外側のケースも、ケアを怠るとサビにつながってしまいます。
そのため、腕時計は日頃から手入れをしっかりとすることが重要です。
腕時計の毎日の手入れ方法
精密機械である腕時計を、素人が毎日手入れするには、どのようにすれば良いのでしょうか。
結論から言えば、基本的にはしっかりと「汚れを拭き取る」こと。
頻度も週に一度、5分~10分でできます。
腕時計を手入れするための道具
腕時計を手入れするのに必要な道具は、基本的に次の3つです。
- マイクロファイバークロス
- 歯ブラシ
- ブロアー
では、それぞれの使い方を見ていきましょう。
①マイクロファイバークロス
マイクロファイバークロスは、腕時計のケースやベゼル、ベルトを拭くのに使用します。
金属ベルト、裏ブタなど、毎日軽く拭き取る習慣を身につければ、それだけで腕時計を長持ちさせることができます。
ただし、ベルトやリューズ、裏ブタの隙間などの細かい部分は、マイクロファイバークロスで取り切ることができないため、歯ブラシを使用しましょう。
②歯ブラシ
歯ブラシは主に、裏ブタやリューズ、金属ベルトなどクロスで拭き取れない隙間に使用します。
掃除したい部分に歯ブラシを当てて、優しく汚れをかき出します。
特に金属ベルトのコマの隙間には、垢や汚れが溜まりやすいため、しっかりと汚れを取り除きましょう。
③ブロアー
ブロアーは、細かな汚れを落とすための道具です。
固着していない埃や汚れは、ブロアーで吹き飛ばすだけで取り除くことができます。
また歯ブラシで落とした汚れが、落ちきらずにそのままとどまっていることもあるため、歯ブラシで汚れを除去した仕上げとして使用しましょう。
基本的な手入れのポイント
腕時計の手入れを行う上で忘れてはいけないポイントを2つご紹介します。
強くこすらない
1つ目のポイントは強くこすらないことです。
なぜなら力を入れて時計をこすってしまうと、傷の原因になってしまうことがあるからです。
注意ポイント
つい力を入れてこすりたくなりますが、よほど汚れていない限りは、軽く拭き取るだけで充分です。
時計の様子がおかしい場合、無理はしない
2つ目のポイントは、リューズやベゼルなど動きが悪い場合や時計の動きがおかしい場合は、無理やり動かそうとしないことです。特にリューズの動きが固い場合は、無理に動かすと破損する恐れがあります。
注意ポイント
時計の動きがおかしいと感じた場合は自分で無理やり動かそうとせず、時計修理店で点検してもらいましょう。
ベルトの種類別手入れ方法
時計のベルトには、金属、革、ラバー・シリコン素材のものがあります。
金属ベルト
多くの金属ベルトは、小さな一つのコマが連なってできています。
そのコマの隙間に、皮脂や汗などの汚れが溜まりやすくなっており、汚れを取らずに放置していると、匂いや雑菌の繁殖につながってしまいます。
手入れのポイント
金属ベルトは水洗いができるため、時計本体から金属ベルトを取り外し、中性洗剤を薄めた水で洗いましょう。
革ベルト
革ベルトは金属ベルトよりも、汗や水に弱い特徴があります。
汗をかきやすい夏場は特に、革ベルトよりも金属ベルトやラバーベルトが推奨されています。
水や汗に濡れてしまった場合は、すぐに水気を拭き取ることが重要です。
手入れのポイント
一日の終わりには、マイクロファイバークロスで優しく全体を拭き取りましょう。
汚れがついてしまった場合は、水につけてかたく絞ったタオルをベルトに優しく押し付けて汚れを取り除きましょう。
ラバー・シリコンベルト
上記以外のラバーやシリコンなどの素材は、水に強い素材ですが、長時間水にさらしてしまうと、傷や割れにつながってしまいます。
そのためタオルやマイクロファイバークロスなどの布で、優しく水気を拭き取りましょう。
手入れのポイント
汚れが気になる場合は、中性洗剤を薄めた水で洗うこともできます。
この際も、時計が水につかないように時計本体からベルトを外すようにしましょう。
時計とベルトが一体型になって取り外しができない場合は、時計本体をラップで包むなどして、カバーをするようにしましょう。
これだけはやらないで!NGの手入れ・保管方法
腕時計の手入れの方法を解説しましたが、反対にやってはいけないこともあります。
ここでは2つの腕時計の手入れ・保管の際のNG行動について解説します。
防水だからといって水で洗うのは危険
腕時計には、防水機能を備えたものがあります。
しかし「防水機能があるから」と言って、腕時計を水で洗うのは避けたほうが良いでしょう。
なぜなら蛇口から出る水の勢いは、一部では20気圧を超える場合があるからです。
そのため防水機能を備えていても内部に水が入り込む危険性があります。
注意ポイント
水で洗う場合は、ケース部分は洗わずに、ベルトを外してベルトのみ洗いましょう。
パソコンやスマートフォンの近くで保管
腕時計の内部のムーブメントは、小さな部品で構成されています。
そのため磁力や電波に弱く、時計のパーツに磁気が帯びてしまうと精度が狂ってしまい、時計修理店で磁気抜きをしてもらわないと直らなくなってしまいます。
特にスマートフォンと一緒に腕時計をポケットやカバンのなかに入れてそのままにしてしまうと、磁気帯びが発生してしまうため、気をつけましょう。
注意ポイント
腕時計は、安定した暗所で保管するのが最も良いとされています。
湿気や乾燥にも弱いため、腕時計専用の保管ボックスで保管するのがベストです。
これだけはダメ!腕時計を痛めるNGな保管方法
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3~5年に一度はプロの手入れを受けましょう
腕時計の日頃の手入れ方法・メンテンス方法についてご紹介しました。
腕時計は、時計の専門家でなくても、気軽に手入れができます。
手入れの道具も安いもので、1000円前後で揃えられるため、長く腕時計を愛用し続けたい方は、日頃の手入れを習慣にしてみてください。
また腕時計は日頃の手入れはもちろん、定期的に内部のムーブメントのメンテナンス(=オーバーホール)を受ける必要があります。
機械式時計は3~5年に一度、クォーツ式時計は4年に一度が推奨されているため、定期的なプロのメンテンスも忘れずに受けるようにしましょう。