高価な腕時計を購入すると、しっかりとした管理・保管を行って故障しないようにすると思います。
しかし、いつどのような故障や不具合が発生するか分かりません。
大事なのは、「故障しないようにメンテナンスをする」ということです。
この記事を読むことで、オーバーホールがどういったものなのか、なぜオーバーホールを行うべきなのか、そして依頼方法まで理解してくださったら幸いです。
オーバーホールとは
まずは、オーバーホールとは一体何なのか解説します。
腕時計における「オーバーホール」とは、腕時計を分解して内部にある各パーツなどの点検を行うことを指します。
他にもカメラや釣りのリールなどにも使うことがある単語です。
故障する前に内部から徹底的にメンテナンスを行い、故障するリスクを極限まで落とし、新品同様に使えることを目的としています。
修理とは違うの?
腕時計の「オーバーホール」と「修理」はまったく違うものです。
それぞれ以下のような性質を持っています。
オーバーホール
腕時計を分解して時計内部に不具合がないのかを確認し、汚れがあれば洗浄をしたりオイルを差して新品同様になるようメンテナンスとすること。
修理
故障や不具合の原因となっているパーツを修復したり交換したりすること。
簡単に言ってしまえば、オーバーホールは「故障するリスクを落とすこと」、修理は「故障したから修復すること」です。
ブランド時計の場合、基本的には数年に一度のペースで「オーバーホール」を依頼し、
時計を新品と同等に近い良い状態に保ち続けることが望ましいです。
ですが、何らかの原因で時計が故障してしまった場合は、
「修理」という形でパーツを修復したり、交換を行います。
ただし、修理が必要な時計はまだ明らかになっていない不調や故障の原因がある危険性が高いため、
同時にオーバーホールすることをおすすめされるでしょう。
オーバーホールの相場は?
オーバーホールに出せる腕時計は、「クォーツ時計」と「機械式時計」に分類できます。
この2つをさらに分類した相場が以下のようになります。
オーバーホールの相場表
腕時計の種類 | 相場 |
クォーツ時計(スタンダード) | 8,000円~20,000円 |
クォーツ時計(クロノグラフ) | 15,000円~30,000円 |
機械式時計(手巻き) | 20,000円~40,000円 |
機械式時計(自動巻き) | 20,000円~50,000円 |
機械式時計(クロノグラフ) | 30,000円~80,000円 |
表を見ても分かるように、基本的にはクォーツ時計の方がオーバーホール費用は安いです。
機械式時計は相場の幅も大きく、安かったり高かったりの波が激しいと言えます。
オーバーホールはオーバーホール専門店に依頼するとメーカーサポートと比べて費用を抑えられます。
時計修理・オーバーホールはメーカーへ依頼が正解?メリットとデメリットを紹介。
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オーバーホールの簡単な流れ
オーバーホールは基本的に以下のような流れで行われていきます。
(※業者によって多少の違いあり)
step
1分解
完全分解するということはそれだけ細部にわたってメンテナンスができますが、組立てる技術も必要になるので行っている業者はそこまで多くありません。
step
2洗浄
特殊な洗浄液を使って段階的に進めていくのが一般的な流れです。ブレス部分も超音波などを用いて汚れやサビを落としていきます。
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3注油・組立
注油は少なくても多くてもダメですので、経験を積んだ職人が行うくらい難しい作業です。
その後、一つ一つパーツを組み立てていき、預かったときと同じ状態にします。
step
4タイミング調整
デリケートな調整が求められますので、熟練の技術者が担当することが多いです。
step
5新品仕上げ
オーバーホールを行う理由
大きな理由としては以下の3つが挙げられます。
- 見た目だけでは分からない腕時計内部の故障をチェックできる
- 各パーツが消耗することによって引き起こる故障を未然に防げる
- 腕時計内部の掃除とオイルを差すことによって新品のような動作にできる
腕時計内部の故障をチェックできる
腕時計は、掛け時計と比べてメンテナンスの難易度が非常に高いです。
掛け時計であれば自分で内部のチェックをすることができますが、腕時計になると専門的な知識や技術が必要になってきます。
自分で下手に分解してしまうと故障に繋がるので絶対にやめてください。
オーバーホールをお願いすることによって腕時計の内部からチェックしてくれますので、故障を未然に防ぐ効果があるだけでなく、症状が悪化する前に見つけることができます。
各パーツの摩耗による故障を防げる
前述しましたが、腕時計というのは自分でメンテナンスすることが難しいです。
しかし、腕時計は毎日動き続けるものですので、各パーツは少しずつ摩耗して消費されていきます。
ほんの少しの摩耗でもズレが生じますし、他のパーツへ負担を増やすことに繋がってしまうのです。
そういった点もオーバーホールすることで発見しやすくなります。
腕時計内部を洗浄して新品同様の動作を可能にする
腕時計の外部を洗浄することは簡単です。
しかし、外部がキレイだったとしても内部が汚いと思うように動かなくなってしまいます。
ココがおすすめ
各パーツを一つずつ洗浄することで新品同様の動きが可能になるのです。
それに加えて、オイルを差すことで滑らかに動くようになります。
高価な腕時計だからこそしっかりと内部からキレイにしていきましょう。
オーバーホールの依頼方法
最後に、オーバーホールを依頼するにはどのような手順で行っていくのかを解説します。
ただし、業者や依頼する時計の種類によって費用や手順は変わってきます。
ここでは基本的な流れを記載しますので、参考にする程度で読み進めていただければ幸いです。
正規のメーカー店に持ち込む、もしくは郵送で送る
もし近くにオーバーホールしたい腕時計の正規メーカー店があるのであれば、そのまま直接持ち込むことができます。
近くになくても郵送することはできますが、郵送時のトラブルによって大事な腕時計が紛失するなどの可能性があります。
ココがおすすめ
正規店のメリットは、やはり高い安心感です。
パーツも正規品が使われますし、正規修理保証書が発行される点も大きいです。
ココに注意!
一方でオーバーホールに1ヶ月以上などかかるなど期間が必要だったり、
価格が高くなりやすいというデメリットもあります。
時計修理専門店に持ち込む、もしくは郵送で送る
正規のメーカー以外にオーバーホール・時計修理専門店に依頼することができます。
ただし、各修理店にも特徴や得意とする作業があります。
オーバーホールするようなブランド時計は、電池交換などの軽度の修理作業を得意とする修理店には向きません。
高価なブランド時計は、実績豊富なオーバーホール専門店に依頼するのが良いでしょう。
店舗の規模が大きかったり、しっかりとした技術を持った一級技能士が在籍しているなど優良業者を見つけるポイントはいくつかあります。
ココがおすすめ
時計修理専門店メリットは、正規メーカーに比べ価格が比較的安く済ませることができる、
オーバーホール完了までの期間が短いなどがあります。
どちらも正規店の半分~7割程度と言われています。
もちろん逆に正規メーカーに劣る点もあります。
ココに注意!
部品が破損していた場合、取替えの部品が正規メーカーのものを用意できなかったり、そのことで依頼を断られる場合があります。
また、時計修理専門店も保証期間を設けているところが多いですが、正規メーカーの方が保証期間が長い場合があります。
大切なことは、いかに自分の時計の状態に合った優良業者を選択するかという点だと言えるでしょう。
まとめ
今回の記事をまとめると以下のようになります。
オーバーホールとは?
- オーバーホールとは、故障を未然に防ぐために行うメンテンスのこと
- 腕時計の種類によって相場は大きく変わる
- オーバーホールを行わないと、故障したり通常の動作ができなくなる
- 依頼する際には、メーカーにするのか時計修理専門店にするのかを考える