時計のリューズが動かなかったり、緩くなったりして不安に思った経験をお持ちの方は少なくないのではないでしょうか。
時計のリューズは、針回しや日付変更など日常的に動かすことが多い部分のため、最も壊れやすい部分です。
今回はリューズに不具合がある場合の原因と、リューズが破損してしまった場合の緊急対処法をご紹介します。
少しの工夫で愛用の時計を長く使用し続けることができるため、リューズに関する知識を持っておきましょう。
時計リューズの種類
時計のリューズには種類が大きく「引き出し式」と「ねじ込み式」の2種類があります。
それぞれ特徴やロックの解除方法が異なるため、理解しておきましょう。
引き出し式
多くの時計がこちらの引き出し式のタイプです。
動かし方
引き出し式は、リューズを指でつまんで引っ張り出すことで針回しをしたりゼンマイを巻き上げたりすることができます。
ただし強い力で引いてしまうと、リューズが取れてしまうため、力加減には注意しましょう。
また、硬いからといって、ピンセットなどで工具を使うと壊れてしまうため、絶対にやめましょう。
ねじ込み式
ねじ込み式はロレックスやオメガといった時計ブランドのダイバーズウォッチに使用されていることが多いタイプです。
時計の内部の気密性を保つ特徴があり、水やホコリなどの侵入を防ぐことができます。
動かし方
・ねじ込み式のリューズは、反時計回りにリューズを回すとリューズがせり出し、時刻調整やゼンマイを巻き上げることができます。
・リューズを締める場合は、時計のほうにリューズを押し込みながら先ほどとは反対方向に回せば、締めることができます。
しかし途中で止まってしまう場合はまっすぐ押し込めていない可能性があるため、しっかりと奥まで押し込めてから締めるようにしましょう。
このタイプも、強く引き出したり無理やりねじ込もうとしたりすると、リューズのねじ山やチューブが潰れてしまうため、力は入れすぎないようにしましょう。
時計のリューズ不具合の原因<リューズが硬い場合>
まず時計のリューズが硬い、回せない状態のときに考えられる原因は次の2つがあります。
ホコリや異物などが詰まっている
1つ目は、時計の内部にホコリや汚れなどの異物が詰まってしまっている場合です。
リューズが硬くても、動かそうと思えば動かせる場合、そのまま放置してしまう方もいますが、それは非常に危険なことです。
ホコリや異物が詰まっていると、使用している間に時計の内部へとどんどん入ってしまい、時計の部品へと影響を与える可能性があるからです。
ココがポイント
動かせるからといって、そのまま放置せずになるべく早く時計修理店にオーバーホールを依頼するようにしましょう。
リューズが錆びている
2つ目は、リューズが錆びている場合です。
リューズが完全にしまっていない状態で水分が侵入したりパッキンが劣化したりしていると、リューズのサビや腐食につながってしまいます。
ココに注意
この場合、無理にリューズを動かすと他の部品も傷つけたり、リューズが取れてしまったりするため、動かさずに時計修理店でオーバーホールを依頼しましょう。
ねじ込み式リューズのロックが解除できてない
3つ目はリューズのロックがうまく外せていない場合です。
リューズには、ねじ込み式と引き出し式の2種類があります。
引き出し式は単純にリューズを引き出せば使えますが、ねじ込み式の場合、リューズを回して引き出す必要があります。
この回すのが不十分な場合、ロックが解除できずにリューズが引き出せないと勘違いをしてしまうことがあります。
どちらのタイプのリューズ
- 手持ちの時計がねじ込み式か引き出し式かは、リューズを引き出してみることで判断できます。
- そのまますぐに引き出せれば引き出し式ですが、引き出せない場合ねじ込み式と考えられます。
ただし強く引くと時計にダメージを与えてしまうため、力強く引き出さないように注意しましょう。
時計のリューズ不具合の原因<リューズが緩い・空回りする場合>
時計のリューズの不具合で、反対にリューズが空回りする・緩いということも多くあります。
この場合に考えられる原因は以下の2つがあります。
経年劣化による摩耗
1つ目は経年劣化による摩擦です。
リューズを巻き上げると時計内部の部品を動かし、ゼンマイを巻き上げることができます。
このとき一部の部品に不具合が生じていたり歯車のかみ合わせが悪かったりすると、リューズを巻き上げても力が伝わりません。
また時計内部の各部品には、摩擦を防ぐために潤滑油が塗布されていますが、時間が経つとこの潤滑油が乾きや劣化してしまいます。
ココに注意
このようになってしまうと部品に摩耗が生じ、部品の破損やリューズの不具合へと発展してしまうため、オーバーホールをして新たに潤滑油を塗布してもらう必要があります。
ねじ山が潰れている
2つ目はねじ山が潰れている場合です。
ねじ込み式リューズを固定するためのねじ山やねじ山と重なるチューブと呼ばれる部品が、強い力や経年劣化によって潰れてしまった場合、リューズが閉まりづらい、閉まらなくなってしまいます。
この場合、時計修理専門店でねじ山やチューブを交換する必要があります。
ココに注意
ねじ山を潰さないためにも、日頃からリューズを強く締めすぎないようにしましょう。
リューズが取れてしまった!破損した場合の対処法
「時計のリューズを引っ張ったら取れてしまった!」そんな緊急時の対処法をご紹介します。
リューズを無理に押し込まない
リューズが取れてしまった場合、無理に元に戻そうとしてはいけません。
リューズには多くの部品が組み合わさっているため、時計修理の専門家以外が元通りに戻すのは難しい作業です。
何も知らずに無理やり押し込んでしまうと、内部の機械を破損してしまうことがあります。
ココがポイント
リューズが取れた場合には、無理に押し込まずにリューズと時計が分離したままの状態で保管しましょう。
リューズを保管する
「リューズが取れたのだから、時計修理に出せば交換してくれるだろう」と考えて、リューズを廃棄してしまう方もいるかもしれませんが、取れたリューズは捨てずに保管しておきましょう。
リューズが取れてしまっても、必ずしもそのリューズがもう使えないというわけではありません。
リューズとゼンマイをつなぐ巻真という部品が緩んでしまっただけという場合もあります。
この場合、リューズ自体はまだ使用し続けることができます。
またブランドによっては、リューズだけで数万円するものもあるため、捨ててしまうと余計な費用が発生してしまいます。
ココに注意
そのため取れたリューズは捨てずに時計修理専門店で時計と一緒に見てもらいましょう。
定期的なメンテナンスをしよう
時計のリューズの不具合の発生は、日頃から使用していれば少なからず発生するでしょう。
しかしリューズの不具合を放ってしまい続けると、時計の内部の破損といったさらに大きな不具合へとつながってしまいます。
そのためリューズの不具合が発生したらなるべく早く時計修理専門店で、メンテンスを受けるようにしましょう。
ココがポイント
リューズの不具合がない場合でも定期的なメンテンスであるオーバーホールを行うことをおすすめします。
オーバーホールを行うことで、小さな不具合を早い段階で見つけることができます。
愛用の時計を長く使い続けるためにも、定期的なオーバーホールを行いましょう。