クォーツ時計は、電池を動力とした時計です。
機械式時計よりも安価で精度が高いため、時計の初心者にもおすすめの時計です。
しかし電池式であっても、クォーツ時計ならではのトラブルや時計修理が必要になることもあります。
今回はクォーツ時計の特徴と、よくあるトラブル、その原因と解決方法を解説します。
クォーツ時計の特徴
クォーツ時計とは?
クォーツ時計は電池をエネルギー源にし、水晶を高速振動させることで高精度を実現している時計です。
1880年に発見されていましたが、当時は腕時計の実用化には至っていませんでした。
しかし時計ブランドのセイコーが1969年に世界初の市販クォーツ時計「アストロン」を発売したことで、広く一般に広がりました。
それまで多くの小さな部品が組み合わさって動く機械式時計が主流でしたが、金額が高く精度が狂いやすい弱点がありました。
クォーツ時計は安価で精度も1ヶ月に15~30秒の誤差と非常に高く、1970年代にセイコーが特許を公開したころで、多くのブランドがクォーツ時計を取り扱うようになり時計の主流となりました。
現在では、エルメスやグッチなどのファッションブランドだけでなく、ロレックスやオメガ、フランクミュラーなどの時計ブランドでもクォーツ時計を取り扱っており、時計市場のうち97%がクォーツ時計だと言われています。
誰しも一度は手にしたことがあるよね!
クォーツ時計の寿命は短い!?
クォーツ時計は、低単価で購入しやすく精度も高いというメリットがありますが、機械式時計よりも寿命が短いというデメリットがあります。
なぜ!?
理由は、クォーツ時計の動力である電子回路の寿命が平均で10~20年であり、対応している電子回路の製造が終了してしまうと、修理による交換も不可能になってしまうからです。
なかには、クォーツ時計であっても長期的な保証をうたう高級時計ブランドもあるため、必ずしもすべてのクォーツ時計が当てはまるわけではありません。
しかし、それでも機械式時計ほど、時計修理に対応してもらえるとは言えないでしょう。
クォーツ時計のよくあるトラブル1:電池の消耗が早い
クォーツ時計には、よく起こるトラブルがいくつかあります。
そのうちの一つが電池の消耗が早い点です。
クォーツ時計の動力は電池のため、定期的な電池交換が必要で、その期間は2~3年に一度と言われています。
しかし、電池交換して間もないにもかかわらず、電池の消耗が早くなってしまうことがあります。
このトラブルには、2つの原因が考えられます。
原因1:内部の汚れや油切れ
1つ目の原因が時計の内部にゴミが入り込んだり、潤滑油が切れる油切れが起こっていたりすることです。
時計内部の汚れ
埃や塵などが多い場所での使用や保管をしていると、時計の内部に細かいゴミが入り込んでしまいます。
内部に入り込んだゴミが部品に付着したり部品同士の隙間に挟まったりしてしまうことで時計が動かなくなってしまいます。
油切れ
また時計の部品には、部品同士の摩耗を防ぐための潤滑油が塗られています。
この潤滑油が経年劣化によって切れてしまうと、部品同士に摩擦が発生し時計が動かなくなってしまいます。
これらの内部に不良がある場合、部品や電子回路に負荷がかかり通常よりも電池の消耗が早くなってしまいます。
ココがポイント
これを防ぐには、時計修理店で定期的なオーバーホールを行うことが必要です。
クォーツ時計のオーバーホールの推奨期間は4年に一度です。
原因2:回路不良や電子回路の経年劣化
2つ目の原因は、回路不良や電子回路の経年劣化です。
クォーツ時計は、通常使用であっても、錆付きや回路の劣化が発生するため、事前に防止することは難しいと言われています。
また電子回路は、時計に適したものでないと交換ができない上に、メーカーの製造が終了してしまうと交換ができなくなってしまいます。
クォーツ時計のよくあるトラブル2:精度不良
2つ目のよくあるトラブルは、時計の精度が狂ってしまうことです。
クォーツ時計は機械式時計よりも、精度が高いですが使い方によっては精度が落ちてしまいます。
精度不良が起こる原因として考えられるのが磁気帯びです。
原因:磁気帯び
クォーツ時計や機械式時計は、磁気が強いところに置いておくと、精度が狂ってしまいます。
クォーツ時計の内部には、磁石が使用されているため、磁気が強いとその影響を受けてしまいます。
磁気=磁石のイメージを持つ方も多いかと思いますが、実際には磁気はパソコンやスマートフォン、IHヒーター、磁石タイプのカバンの留め具など、日常のさまざまな部分で使用されています。
よくある事例
スマートフォンとクォーツ時計を一緒のポケットやかばんに入れたり、一緒に保管してしまったりすることで、磁気帯びが発生してしまうことがあげられます。
ココに注意
いったん磁気を帯びてしまうと、専門の器具で時計から磁気を抜くしか方法がないため、普段から時計の周囲の磁気に気をつけましょう。
目安として5~6cmほど離すのが良いとされています。
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クォーツ時計のよくあるトラブル3:電池交換をしても動かない
3つ目のよくあるトラブルとして、電池交換をしても動かないことがあげられます。
クォーツ時計は、内部の部品や電子回路の複雑な組み合わせで動いているため、外から見ても原因がわからないことが多いです。
ここでは電池交換をしても動かない原因を解説します。
原因1:電池の液漏れが発生している
クォーツ時計は、電池を動力源としていますが電池切れのクォーツ時計をそのまま放置してしまうと、電池から液が漏れ出す液漏れを起こしてしまいます。
液漏れは使わない電池からの過放電を防ぐために起こるもので、漏れた液体が時計内部の部品に悪影響を及ぼしてしまいます。
この場合オーバーホールで部品を分解、洗浄することで直すことができます。
ココに注意
長期間液漏れの状態を放置すると、腐食が進んでしまい最悪の場合修理ができなくなってしまうため、液漏れが疑われる場合はすぐにオーバーホールに出すようにしましょう。
原因2:針が引っかかっている
電池交換をしても動かない場合、内部の不良以外に時計の針の不良も考えられます。
針の動かない原因として、針のひっかかりがあげられます。
時計をぶつけたり落としてしまったりといった衝撃を与えてしまうと、針がずれてしまうことがあります。
針がずれると・・
針がずれてしまうと、他の部品に引っかかって動かなくなってしまうため、電池交換をしても時計が動かないと勘違いをしてしまいます。
針がカチカチと小さく動いていたり針以外の部分が動いていたりする場合は、針の引っかかりが考えられます。
ココに注意
この場合、無理に針を動かそうとすると針を曲げてしまったり、他の部分への破損につながってしまったりするため、早急に時計修理に出すようにしましょう。
定期的なオーバーホールを行おう
ここまでクォーツ時計の概要とよくあるトラブルとその原因について、解説しました。
ここでご紹介したトラブルや原因はクォーツ時計でよく見られるものであり、あくまでも一概にこれが全てとは言えません。
ココがポイント
愛用の時計に不具合が生じた場合は、自分で判断したり修理しようとしたりせずに、時計修理専門店で、プロに見てもらうことをおすすめします。
保管方法まとめ
- 長期間使わない場合は電池を抜いて保管するようにしましょう。
- 保管する場所は埃や塵などがなく、直射日光が当たらない暗所で保管するようにしましょう。
不具合がなくても、定期的なメンテンスであるオーバーホールを行いましょう。