機械式時計だからしょうがない?
クオーツ時計なのになぜ?
遅れたり早くなったり、腕時計の時刻ずれをそのままにしていませんか?
これは要メンテナンスのサインです。
そのままにしておくと時刻ずれが次第に大きくなっていきます。
ここでは腕時計の時刻がずれる原因とメンテナンス法について、機械式時計とクオーツ時計にわけてお話しします。
機械式時計がずれる原因とメンテナンス法
機械式時計がずれる第一の原因はゼンマイの巻き上げ不足。
手巻きすればすぐに解決するのですが、この状態が慢性化してしていたり、手巻きしても解決しないならば、時計修理専門店に相談してみましょう。
機械式時計がずれる原因
機械式時計がずれる原因
- 油切れ
- 磁気帯び
- 異物の混入
- パーツの劣化
時計式時計がずれる原因は以上の4つです。
油切れ時計は何枚もの歯車が噛み合って動作しています。
正確な時を刻むスムーズな動作には油が必要です。
経年により油が切れてしまうとスムーズな動作ができず、時刻のずれとして現れるのです。
磁気帯び強力な磁石のそばなどに時計を放置してしまうと、ゼンマイや歯車が磁気を帯びてしまい、時刻がずれてしまいます。
他の項目でくわしく解説していますから、そちらもチェックしてください。
腕時計の磁気帯びとは? 原因と対策を解説
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ゴミの紛れ込みや内部への水の浸入も、時間がずれる原因です。
目に見えないゴミやわずかな水分でも時間ずれの原因になりますし、パーツを劣化させてしまいます。
時計が正確に時を刻むには、歯車やゼンマイなどすべてのパーツが正常であることが必要です。
一つでもパーツが劣化していると正常に時刻を刻むことができなくなります。
異物の混入以外にも、時間がたつことによる劣化も原因となります。
機械式時計のメンテナンス法
「油切れ」「磁気帯び」「異物の混入」「パーツの劣化」という時計の時刻ずれの原因は、それぞれ以下の方法で対処します。
機械式時計のメンテナンス法
- 注油
- 磁気抜き
- オーバーホール
- パーツ交換
「油切れ」を解決するのに必要な作業です。
3~5年に1回のペースで必要になるのですが、適当な機械油を差せばいいわけではありません。
ブランドごとにシリコン入りや粘度など、指定された油を適量使う必要があるのです。
「磁気帯び」の解決に必要な作業です。
専用の機械を使うのですが、強力に磁気を帯びている場合はムーブメントを分解し、パーツごとに磁器抜きをおこないます。
他の項目でくわしく解説しています。
「異物が混入」したら、オーバーホールと呼ばれる時計の機械部(ムーブメント)の分解・清掃が必要になります。
オーバーホールではいっしょに「注油」や「磁気抜き」もおこないますから、時刻ずれや不動といったトラブル全てを解決できます。
トラブルを未然に防いだり、パーツ交換が必要なほどの深刻な事態を避けるために、3~5年に1度のオーバーホールをおすすめします。
時計のオーバーホールは車検にたとえられます。
車に車検が必要なように、腕時計を安心して長く使い続けるためには、定期的なオーバーホールが必要なのです。
ケースやベルトの磨きも一緒におこなえば、新品気分で腕時計を楽しむこともできるでしょう。
劣化したパーツを交換します。
劣化しやすいゼンマイ類の交換ならばよくあることですが、歯車などの交換となると事態は深刻です。
交換用のパーツが手に入らない場合は自作しなくてはいけませんから、料金が跳ね上がらざるを得ないのです。
こうなってしまう前に、オーバーホールをおこないましょう。
クオーツ時計がずれる原因とメンテナンス法
クオーツ時計はメンテナンス不要という説がまかり通っていますが、ぜんぜんそんなことはありません。
時間合わせや電池交換が不要とされるソーラー電波時計ですらクオーツ時計の一種ですから、長く使うならメンテナンスやキャパシタ(電池のようなもの)の交換は必要になります。
クオーツ時計がずれる原因
クオーツ時計がずれる原因
- 電池の劣化
- 油切れ
- 磁気帯び
- 異物の混入
- パーツの劣化
クオーツ時計の時刻ずれの5つの原因のうち、下の4つは機械式時計と通じるところがありメンテナンス法も同じなのですが、クオーツ時計特有のトラブルもあります。
それが一番上の「電池の劣化」です。
電圧が低下するとモーターが十分に動かなくなり、時間のずれとなってあらわれます。
ソーラー時計なら太陽の光に当てても秒針の動きがおかしいとか、動かないという症状があらわれます。
止まった時計には要注意!
「電池の劣化かな?」と思ったら、すぐに時計修理専門店に相談してください。
特に気を付けたいのが、止まったクオーツ時計をそのままにしておくことです。
時計の内部で電池が腐食し、ムーブメント(機械)自体の故障につながります。
こうなると電池の交換だけでは、時計が動き出すことはありません。
「パーツ(ムーブメント)交換」が必要になります。
クオーツ時計のメンテナンス法
クオーツ時計のメンテナンス法
- 電池(キャパシタ)交換
- 注油
- 磁気抜き
- オーバーホール
- パーツ(ムーブメント)交換
5つのメンテナンス法のうち、クオーツ時計特有のものは一番上と一番下「電池(キャパシタ)交換」と「パーツ(ムーブメント)交換」です。
電池(キャパシタ)交換クオーツ時計の電池交換は誰でもできるわけではありません。
無理な裏ブタのこじ開けはゴミや水分などの混入につながりますし、無理な電池の取り出しやムーブメントを素手で触ることは破壊につながります。
電池交換を適切におこなうには経験が必要なのです。
ソーラー時計のキャパシタならなおさらです。
安いから近いからといって、時計修理専門店以外で電池交換をおこなうことは避けましょう。
パーツ(ムーブメント)交換多くのファッション時計や一部のブランド時計には、安価な量産型のムーブメントが使われています。
オーバーホールやパーツ交換よりもコストがかからないと判断したなら、ムーブメントを丸ごと交換してしまいます。
高価なムーブメントの場合の対処は、機械式時計とほぼ変わらなくなりますし、3~5年の定期的なオーバーホールがおすすめになるのも変わりません。
時計の遅れ・早まりは時計修理専門店へ
機械式時計でもクオーツ時計でも、腕時計の遅れ・早まりはメンテナンスが必要というサインです。
そのままにしておくと止まってしまうなど、より深刻なトラブルへと発展しかねません。
時刻がずれる原因にはいくつかあり対処法があるのですが、オーバーホールでほぼ全てが解決します。
機械式時計だけでなくクオーツ時計も定期的なオーバーホールをおこなうことで、いつまでも新品のような最良の状態の時計を楽しむことができるようになるのです。