ガラスの曇りは腕時計によくあるトラブル、水たまりに落とすなど水没が主な原因です。
しかし、水没させたおぼえがなくてもガラスの曇りは起こってしまうものなのです。
ここではガラスの曇りが起こってしまった場合の対処法と、起させないための使い方についてお話しします。
ガラスの曇りは内部浸水のサイン
腕時計のガラスの曇りは、時計の内部に水分が侵入することで起こります。
防水機能がない非防水時計を水没させたならもちろん、高い防水機能を持つダイバーズウォッチですらしばしば起こってしまうのです。
水没させなくても水の侵入は起こる
と思う方も多いかもしれませんが、それでも内部に水が浸入してしまうのが非防水時計です。
台所仕事の水しぶき、雨、付けている腕の汗ですら原因になってしまいます。
機能の劣化の可能性もあり
冒頭の通り、高い防水機能を持つダイバーズウォッチですら水の侵入は起こります。
原因として考えられるのは防水性能を過信しすぎたことと機能の劣化です。
ガラスの曇りは時計修理専門店でのメンテナンスを
「密閉容器に乾燥剤と一緒に入れる」「ドライヤーで乾かす」といった、ガラスの曇りのその場限りの対処法はおすすめできません。
なぜならガラスの曇りが取れても、ムーブメント(機械)の内部には水分は残っていますし、浸水の原因も解決していないからです。
ガラスの曇りが起こったら、ムーブメントや防水性のチェックを時計修理専門店に依頼しましょう。
非防水時計の使用上の注意
水没による時計内部の浸水を防ぐには防水性能の高い時計を使うことですが、非防水時計ではそうはいきません。
これらの時計の見分け方や使用上の注意を見ていきましょう。
非防水時計の見分け方と性能
ご自身の時計の防水性能がわからない方は、時計の裏蓋の表示をチェックしてください。
何もなければ非防水時計ですから、水没はもちろん水仕事も厳禁です。
汗や雨ですら注意する必要があります。
近年では非防水の時計はあまり見られなくなりましたが、アンティーク時計やドレス系のブランド時計は非防水であることも多いです。
使用時には十分な注意と、内部への浸水チェックも兼ねたオーバーホールが必要です。
日常生活用防水時計・日常生活用強化防水時計の使用上の注意
防水時計と名乗っていても、日常生活防水時計では水没は厳禁です。
日常生活用「強化」防水時計になって、始めて水没させても安心といえます。
日常生活用防水時計・日常生活用強化防水時計の見分け方と性能
時計の裏蓋には型番や材質に加えて、防水機能も表記されています。
日常生活用防水時計
ISOやJISにもとづいて「WATER RESIST」「W.R.」と表記されているものは、日常生活用防水時計です。
これらの時計の防水性能は非常に低く、耐えられるのは汗や雨くらい。
水仕事やアウトドアスポーツには向きません。
日常生活用強化防水時計
「WATER RESIST 〇BAR」「WATER 〇BAR RESIST」「W.R.〇BAR」と表記されているものは、日常生活用強化防水時計。
〇の中には5、10、20いずれかの数字が入り、防水性能の高さを示します。
5気圧防水(5BAR)
水仕事や水上・水中をのぞくアウトドアスポーツに耐えられる防水性能のことです。ただし蛇口やシャワーからの水圧には耐えられない場合があります。
10/20気圧防水(10/20BAR)
水上でのスポーツや器具を使わないダイビング(素潜り)なら耐えられる防水性能のことです。
このレベルの防水性能なら水没しても大丈夫といえるのですが、それはあくまでも防水性能が完璧な状態でのことです。
防水を支える「Oリング」
これらの防水時計の性能を支えているのは「Oリング」と呼ばれるゴム製のパーツです。
見た目は輪ゴムと変わらないOリングをケースと裏蓋に挟みこむことで、水の侵入から内部を守っているのですが、変形や変質してしまうと浸水はまぬがれなくなります。
そんなケースは、Oリングの劣化の可能性を表しています。
ダイバーズウォッチの使用上の注意
日常生活用強化防水時計を上回る防水性能を持った時計はダイバーズウォッチと呼ばれます。
ロレックス「サブマリーナ」やオメガ「シーマスター」が代表的なモデルですが、見た目に重厚感がありカッコいいことから、各ブランドがダイバーズウォッチをラインナップしており人気となっています。
ダイバーズウォッチは高い防水性能を持っていますから、水没しても浸水とは無縁と考えられがちです。
しかしダイバーズウォッチにもしばしばガラスの曇りが表れるケースがあるのです。
ダイバーズウォッチの表示と性能
ISOやJISにもとづいて「AIR DIVER'S 100m」や「HE-GAS DIVER'S 300m」と表示されているものが、ダイバーズウォッチです。
ダイヤル(文字盤)に「300m」と入っていたりもしますね。
ダイバーズウォッチはJIS規格で「空気潜水時計」と「飽和潜水時計」に分けられます。
長時間の潜水のための目盛り(回転ベゼル)などが付いており、暗い中でも針が読める高い認識性が求められます。
空気潜水時計
趣味のダイビングなら、十分に対応できる防水性能を持った時計です。タンクに空気を入れて潜ることから名付けられました。
飽和潜水時計
深海で作業するプロのダイバー用の時計、空気潜水以上のタフな環境での使用が可能になっています。
防水を支える様々な機能
Oリングに加えてダイバーズウォッチには、浸水を防ぐ様々な機能が搭載されています。
「スクリューバック」は裏蓋をケースにねじ込む仕組ですし「ねじ込み式リューズ」は針を操作するリューズからの浸水を防ぐ仕組み。飽和潜水時計になると「ヘリウムエスケープバルブ」など、日常生活では使う場面がない機能まで搭載されており、時計を浸水から守っているのです。
時計のガラスが曇ってしまい「ダイバーズウォッチなのに、なぜ?」というケースは、防水を支える仕組みが機能しなかったことが原因です。
アンティークのダイバーズウォッチなら、高価なブランド時計であっても防水性が機能していない場合がほとんどでしょう。
これらをチェックするには定期的な防水機能のチェックやメンテナンスが必要です。
水没の修理・浸水の予防は時計修理専門店へ
水没させただけでなく何もしていないはずなのに、ガラスの曇りが起こってしまうのが腕時計です。
時計内部への浸水が起こっていますから、いち早く時計修理専門店への相談をおすすめします。
ココがポイント
また防水機能が搭載されていても、時計内部への浸水はしばしば起こります。
原因は防水機能の劣化なのですが、これを防ぐためには時計修理専門店での定期的なメンテナンスが必要です。